ステンレスについて解説してみます

ステンレスについて解説してみます

定番のシンク・天板素材【ステンレス】について解説、ご紹介したいと思います。

ステンレスの材質について

ステンレスは、鉄をベースに、クロム・ニッケルなどを混ぜた合金です。クロムなどにより、表面に強い酸化皮膜(不動態皮膜)ができることで腐食に強い金属となります。この不動態皮膜がさびの進行を防ぎます。またこの不動態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いものですが、大変強靭で、 一度こわれても、周囲に酸素があれば自動的に再生する機能をもっています。

ステンレス(stainless steel)は、錆びない金属ではありません。「錆びにくい」金属です。鉄に約11%以上のCrを混ぜた合金のことを「ステンレス」と定めたとのことです。ステンレスの材質記号は、SUS(さす)です。SUSの後に3桁の番号などをつけて鋼種を区別します。JIS規格だけでも、現行60種ほどの鋼種があります。 ちなみにSUSは、Steel Used Stainless (錆の少ない・錆びにくい用途の鋼材)の頭文字です。

ステンレスの鋼種は、一般の人が判別できるのは大まかに2種類です。磁石につくものと、つかないもの(磁性の有無)になります。(磁性のある鋼種は、主要添加元素がクロム(Cr)のみのもの)記号では、SUS430のように、4百番台の数字がつきます。 SUS材の中では安価なため、用途上問題なければコスト面で採用されることが多いです。

磁性のない鋼種は主要添加元素がクロム(Cr)とニッケル(Ni)です。3百番台の数字がつき、オーステナイト系ステンレスと呼びます。ニッケルが入ることで、耐食・耐熱性が向上します。価格は、上記フェライト系ステンレスより(当たり前ですが)高価です。

代表的なステンレスの鋼種紹介

■SUS304(さす・さんまるよん):Cr18%、Ni8%を含む。この含有率(%)をもって、18-8ステンレスと表すことがある。

■SUS430(さす・よんさんまる):Cr18%、Niなし。磁石にくっつく。SUS304に比べ、耐食性に劣るが、安価なため厨房(台所)用品・家庭雑貨などで多く利用されている。

■SUS443(さす・よんよんさん):CR21%、Cu/Ti。ニッケル・モリブデン無添加で、SUS304と同等以上の耐食性を実現。ニッケルやモリブデンは資源量が少なく、高価で価格変動が大きい欠点があります。これらの元素を添加しておらず省資源で、これらの価格が高騰しても影響を押さえられます。

一般の方は、ステンレスというとピカピカ光沢の金属のイメージが強いです。これはキッチン用品や装飾金物などの普段目に付きやすいものが研磨加工などで仕上られているからです。 ステンレス材料の表面は、その製造方法(工程)や形状によりいろいろなものがあります。

表面仕上げ・研磨仕上げの種類

■2B(ツービー):やや光沢(つや)のある表面で、つるっとしている。NO,2B(ナンバー・ツー・ビー)だが、略して2Bと表すのが普通。2B材の表面のつやは、研磨ではなくスキンパスロールによって表面の金属組織が押しつぶされたように平滑になっていることによる。耐食面で安定していて、最も一般的に使われている冷間材の表面。材料を買うとき、特に指定しなければ2B仕上の板がくるくらい市販品として扱われている。

■BA(ビーエー) : きれいな光沢のある表面で、ブライト・アニールを略してBA。日本語では、光輝焼鈍(こうきしょうどん)という。鏡と同等な研磨仕上げをする場合の母材として使ったりする。2Bよりやや高価。ホームセンターで売っているステンレス物干し竿の多くは、鉄に薄いステンレスを張り合わせてつくっています。 (そういう張り合わせの素材を、クラッド材と言うそうです。)

■HL(ヘアーライン)研磨:長く続く縦すじの付いた仕上。髪の毛のような線という意味。200番~250番程度の研磨材(砥材)を使って研磨したもの。手摺・柵・屋外建材金物(エクステリア)などにもよく使われているので目にする機会も多い。

HL仕上

■№4(ナンバーフォー):HLによく似た研磨仕上げです。これは、研磨がHLより粗めで、縦筋が通っていない感じのもの。厨房機器によく使われている。

■#400(よんひゃくばん)研磨 : 光沢(ピカピカ)仕上の代表的なもの。2B素地を#400バフで研磨したもの。バフとは、回転させて磨く研磨材のこと。昔は、光沢を出すために、羽のような柔らかい布で磨いたので「羽布」と漢字で書きます。#400は、そのバフ(砥粒)の番手で、数字が大きいほど細光沢が増す。

■ブラスト仕上げ : 研磨材をエアーでステンレス表面に射出し凹凸をつくることで機能性や意匠性を付与する加工です。板金シンクによく使われる仕様です。

ブラスト仕上げ

■バイブレーション仕上げ : 無方向性ヘアーライン研磨仕上げたもの。ヘアラインと大きく違うのが、表面の方向性を一方向とするのではなく、色々な方向に傷を入れていくという点です。

VB仕上げ

ステンレス原材料サイズについて

板厚は、0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 1.0 1.2 1.5 2.0 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0㎜ が標準厚さです。例えば2㎜の板は、「t2」、「2t」などと書きます。「t」は、シックネス・thickness のt。単位はミリメートルです。


プレスシンクはt0.6~1.0、板金シンクはt1.2~1.5程度、曲げ加工で制作する天板t1.0~1.2程度の板材を使用する事が多いです。
対応出来る天板の最大サイズは依頼先により異なりますが、素材サイズと生産設備の関係から、カウンター奥行:1350、間口最大:3500程度となります。

また、W3000以上のカウンターとD1000以上(W2100以上)の場合は路線便対応不可となり、チャーター便での対応となるケースが多いです。

ステンレスの腐食や割れについて

汚れが付着しているところは湿気を持ちやすく、もらい錆や孔食(点々に腐食)の原因になります。汚れではありませんが、海風を常に受けるところはけるところは、塩分が付着 (湿気)して錆を発生させます。


タンク(槽)の液面付近~薬品槽などでは、常に濡れた状態で空気に当たっているようなところが、腐食が進みやすいところです。
例えば、鉄とステンレス、アルミとステンレスのように違う金属同士が接触しているところは、電位差による腐食が起きやすくなります。

家庭内での錆の原因は次のようなケースが考えられます。
 ・缶詰・包丁など金属製品の放置によるもらい錆び。
 ・塩素系洗剤(台所用漂白剤、キッチンハイター、ヌメリ取り剤等)やしょう油などが付着したもらい錆び。

上記のように表面の酸化皮膜が、何かの原因でキズつけられ、皮膜の再生に必要な空気中の酸素が遮断された状態で放置されると、その部分が錆びることがあります。

ステンレスのお手入れについて

■ 毎日の手入れ

キッチンシンクのお手入れは1日の終わりや夕食後の片付けの時など、汚れがこびりつかないうちに取り除くことがポイントです。食器洗い後台所用洗剤をつけたスポンジで洗います。洗剤分を水で流し、空拭きで水滴はしっかり拭き取って下さい。濡れたままにしておくと表面のくもり、水アカ、油汚れが付着しやすくなります。「水垢」の正体は、水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル分です。こびりついた汚れ等はスポンジにステンレス用クレンザー又はクリームクレンザーをつけ、軽くこすりその後、水でよく洗い流します。最後に乾いた布でよく拭いておくことです。

■ お手入れの注意点
・金属たわしは傷が付くので使わない。
・缶詰・包丁など、もらいサビの原因になるもは放置しない。
・食塩、梅干、醤油などの塩分はステンレスの腐食の原因になるのでしっかり洗い流す。

さいごに

ステンレスの種類や特性についてお話してみました。昔からある定番の素材ですが使っているうちに傷もついてきますがそれが良い風合いになったり、業務用チックなカチッとした雰囲気にしたい時やインダストリアル系のお部屋にはステンレス素材がきっと合うと思います。